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マラソンマン

気まぐれに。
本当に気まぐれに走りたいと思ってしまった。
マズイ事に道具は揃っている。
有名スポーツブランドのジョグ用のシャツとパンツ。
上下セットでカッコイイ。
私は何事にも形から入るタイプだ。
以前、用意しておきながら、未だそれを着て外に飛び出していない。
遂にクローゼットから引っ張り出した。
着用。
うむ。
小腹が出とる。


私は自他共に認めるナルシストだ。
細身のボディが自慢だった。
食べても食べても太らない体質だったはずだ。
しかし年齢は無常にも私の小腹をこんなに蝕んでいたのか。


やはりこれはもう飛び出すしかないだろう。
いざ。
風のように走るのだ。
ところが数十秒後。
200mも走っていないであろうに早速足が痛い。


当然だ。
ストレッチすらやってない。
事前のマラソンに対する知識すら調べてもいない。
毎日ネットに触れているのにだ。
本当に気まぐれだったのだ。
まだ家が見える。
危ない、ここはピッチを上げて家から離れなければ。


1km程度は来ただろうか。
ようやく汗が出てきた。
しかし期待していた程の爽快感はない。
暑い、だるい、痛い。
オカシイ。
少年の頃を思い出して走りたくなったはずだ。
マラドーナを追いかけて、胸を張って走りたかったのだ。
嫌なことも忘れて、夢中でボールを追いかけていた頃のように。
2kmに達してはいないだろう。
自分を許してジョグから歩きに変わった。
大丈夫、久しぶりの運動だからこんなもんだ。
いいんだ。
ブラジル体操で体をほぐす。
汗は良い感じに体中から溢れ出てくる。
それは求めていた通りだ。
しかし暑い。
歩きを織り交ぜて約3km程度。
ほんの数十分の冒険だった。
明日以降も続くのだろうか? いや続けるのだ。
こんなんじゃ消化不良だ。
こんなんで足痛くなってる場合じゃない。
マラドーナを追いかけていた頃。
1984年の俺は3km走を10分程度で走っていたはずだ。
自分の情熱をブログに載せて。
自分を追い込んでみた中年の夏。
少しは腹へこんでくれないかな。

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